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実は反応率に影響する、広告や販促物に「ふさわしい」書体えらびとは

[fa icon="calendar"] 2014.03.31 / by 大澤 元裕

 トピックス: まとめ, 事例

ふだん生活の中で何気なく見ていたモノが、あることをきっかけに「これって、すごく便利だなぁ!」とか、「なるほどっ!」と、気づかされることがあります。
最近、乾麺のパスタを事前に水漬けしておくと、ゆで時間が短縮され、まるで生麺のような食感へ変わることに気づき、若干テンションが上がっている大澤です。

そんな私のテンションはともかくとして、今回は私たちのまわりにあふれているけど、何気なくしか見ていないかもしれない、書体のお話です。

媒体によって違う、「ふさわしい」書体えらびとは?

パソコンで書類を作っている同僚に、「何で、その書体を使ったの?」と聞いたところ、「ワードの標準フォントをそのまま使っただけだよ!」と言っていました。仕事の書類づくりで、何気なくフォントを使用しているという方、多いのではないでしょうか。そういわれてみると、早朝に読んだ新聞記事も、夜寝る前に読んだ小説も、似たような書体だった気が・・・。

それは、日本人になじみの深い「明朝体(みんちょうたい)」ですね。

でも、なぜ「明朝体」が使われているのか、理由を深く考えることってあまりないですよね。実は「明朝体」は可読性(読みやすさ)に優れていて、とくに文字量の多い印刷物には「ふさわしい」書体なんです。「明朝体」といっても、太さやメリハリの違いなどかなりの種類があり、中でも「細めの明朝体」がとくに読みやすいとされています。余談ですが、私はフォントワークスの筑紫明朝-Lが好きですね。この書体を使っている印刷物を見つけると、「この書体を選んだ人は、かなりのフォント通!」と思ってしまいます。ちょっとマニアックすぎですかね?

では、テレビやWEB、プレゼンなどモニターや画面を通してみる媒体ではどうでしょうか?

小さな文字の「明朝体」だと、解像度の関係で細い線が表示されない場合があり、太さでメリハリが少ない「ゴシック体」が適しているといわれています。こちらでも「ふさわしい」書体があるようで、「明朝体」がオールマイティーというわけではなさそうです。

多くの媒体で、ふさわしい書体=読みやすい書体という考えが定着しており、書体えらびにおける1つの基準となっています。このことは、「伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン」で詳しく解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

「ふさわしくない」書体を使用すると、どうなるのか?

「広告の父」デイヴィッド・オグルヴィに、広告におけるタイポグラフィとレイアウトデザインの研究を認められたコリン・ウィールドンは、著書『Type & Layout: Are You Communicating or Just Making Pretty Shapes』の中で、「間違った書体を選ぶだけで読み手の3分の2を失うことがある。もしあなたが言葉に頼ってモノを売ろうと思うなら、その点は大きく影響するはずだ。」と記しています。

ウィールドンは1986年に、サンセリフ体(Helvetica:ヘルベチカ/日本語のゴシック体に類似)と、セリフ体 (Garamond:ギャラモン/日本語の明朝体に類似)とで、どちらが読みやすいかの実験を行いました。調査対象となった人のうち、サンセリフ体をスラスラと読めたのは全体のわずか12%だったのに対し、セリフ体は67%の人がスラスラと読めたという結果が出ています。アルファベットよりも複雑な日本語表記において、結果を単純に「ゴシック体」と「明朝体」に置き換えて比較することは、かならずしも適切でないかもしれません。ただ、ふさわしくない書体をえらぶことで、10人中6〜7人の人に見過ごされたり、読んでもらえなかったりする場合もあるということなんです。

例えば、
①社内文書をすべて「ゴシック体」に替えたら、上司の理解度が下がり、閲覧スピードが落ちた。
②新聞記事をすべて「ゴシック体」にしたら、購読者が激減した。
なんてことも、起こりうるんじゃないかと。

書体のもつ印象が、全体イメージに影響を与える?

印刷物で文字が主体のデザインは、書体の印象がそのまま全体イメージとなることも少なくありません。結婚式の招待状も、その1つかもしれません。下の写真は、デザインやレイアウトは変えず、書体だけを変えたものです。どちらが、結婚式の招待状に「ふさわしい」書体でしょうか。おそらく多くの人が左側の招待状を選ぶのではないかと思います。理由として「今までにもらった招待状に近いから」とか、「高級感ある結婚式を想像した」など招待状を見た方の経験や第一印象が左右することも。また招待状を出す側だとしたら、自分たちの「誠意」や「おもてなしの心」をきちんと伝えられそうだからという意見もあるでしょう。右側のPOPな書体の案内状は、結婚式の二次会の案内やアットホームな手作りパーティーなどに「ふさわしい」書体なのかもしれません。

招待状

 

実際の広告や販促物に置きかえたら・・・

書体えらびを間違えたことで、本当は高品質でセレブ向け商品なのに、広告や販促物をみた人に安売り商品かのようなイメージをうえつける場合もあります。商品への「熱い思い」や「こだわり」が書いてあっても、伝わらないばかりでなく、間違ったイメージが先行してしまい、購入してもらえるチャンスを逃すことも。それって、売り手側としては困りますよね。

皆さんもこれを機会に、「書体」えらびの大切さに気づいてもらえるとうれしいです。広告や販促物に限らず、ちょっとした書類でも、「書体」えらびを意識することで、出来ばえが大きく変わるんじゃないかと思います。

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大澤 元裕

著者: 大澤 元裕

株式会社大和広告 クリエイティブユニット グラフィックディレクター兼デザイナー 広島県福山市出身。高校を卒業して大学進学をきっかけに、九州で11年間過ごす。その後、地元へ戻り、デザイン会社を経て、2011年に大和広告へ入社。社内では、クリエイティブユニットの一員として、広告物全般のデザインを担当。また国内の公募コンペでは、グラフィック、テキスタイル(図案)、CIロゴおよびタイポグラフィ、新聞広告、キャッチコピーなどで多数受賞歴あり。趣味は山登りだが、一人娘が大きくなるまでの間、再開を見送っている。

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